弥次喜多ライナー乗車記
 超長距離昼行バス、乗車顛末記

 

 平成17年10月5日、昼便では、おそらく一番長い距離を走る高速バスが開業しました。
 朝から晩までバスに乗るのはどうなのか、ちょっと気になったので早速乗ってみることにしました。
 多分、日本で一番早い乗車記をどうぞ。

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◆2005/10/09


 平成17年10月9日、まるで遠足前の子供のようにワクワクテカテカして早起きしてしまった私、予定より大分早いけど、さっさと横浜駅に向かうことにします。

 朝食を準備し7時過ぎにバスターミナルに行くと、前の横浜昼特急の時と同じように、長距離バスに乗りそうな雰囲気の人はいません。おばさんが一人、大きな荷物を持ってベンチに座っていましたが、10分前にどこかへ立ち去ってしまいました。乗客一桁台は最初から覚悟していますが、さて今回はどうなるんでしょうか。

 7時25分頃、ボディに『CHUGOKU BUS』と書かれたバスの姿が見えました。ゆっくりとこちらにやってきます。

 
 日野セレガ、スーパーハイデッカー。
 手ブレが酷いので拡大は無し。(マテ

 ふと見ると、もう一人、お客さんがいました。どうやら一人だけという気まずさからは逃れられそうです。

 定刻7時30分に発車、小田急箱根高速バスの御殿場・箱根行きは、保土ヶ谷BPまで首都高を使うというお大尽ぶりを発揮しましたが、こちらは横浜昼特急と同じく、R1を経由し新保土ヶ谷ICから保土ヶ谷BPに入ります。

 連休2日目でしかも天気が悪いとあって保土ヶ谷BPはガラガラ、このままじゃ町田に早く着いてしまうということで、60キロ程度のゆっくりしたペースで走ります。それでも鵜野森の渋滞も無かったため、町田BC手前の路肩に停めて時間調整、かれこれ20分近く停まっていたでしょうか。

 町田BCに8時35分着、ここから乗る人の予約が入っているとの話でしたが、どういうわけかお客さんがいません。運転士さん達も探しに出かけましたが結局見つかりません。後続のバスが「はよどかんかい」と追い立てているため仕方なしに出発しようとすると、男性が一人、走ってくるのが見えました。どうやらギリギリで間に合ったようです。

 1分遅れで町田BC出発、町田BCから東名の横浜町田ICまで、今来たR16を戻ります。ここら辺のコースは横浜昼特急と同じです。

 一番前の席は足を伸ばせないし、「空いてるから好きな席へどうぞ」と運転士さんから言われましたが、せっかくの昼行便ですし、ここはやっぱり前面眺望を楽しみたいというわけで、席はそのままにしときましょう。

 
 9時過ぎ、東名高速に突入。
 ここから山陽道、福山東ICまで乗客3人+運転士氏2人での高速道路の旅が始まります。

 大井松田までの3車線区間、全ての車線を縦横無尽に使い切り、少しでも前に行こうとするアグレッシブな走り(違w)はJR系のバスでは絶対に味わえません。この調子なら大井松田から先、もしかすると右ルートでハァハァ出来るかもと思ったのですが、さすがにこの区間は左ルートを通ります。

 にしても天気が悪すぎて、富士山は影も形も見えません。残念。

 
 10時過ぎ、富士川の非武装中立地帯、軍事境界線(それは群青の設定だってば)を抜け、由比の海岸が見えてきました。
 って、フロントガラスの水滴にピントが合っちゃったよ。orz

 10時20分頃、乗務員交替のため由比PAに入ります。ここでは運転士さんが交替するだけですので降りることは出来ませんでした。つーか、由比PAに大型バスで入ったのって初めてというか、わは、乗用車用のスペースを数台分占拠して停まってますよ。(笑

 
 11時過ぎ、吉田付近でJR東海バスの東名ライナー53便京阪神昼特急静岡1号を捕捉、撃破。(マテ
 連休二日目のせいか向こうもガラガラのようです。二階建てバスの最前席が空いていましたし。

 12時、JRバスなら足柄と浜名湖で休憩してるのにと、そろそろ体が「休みたい」コールを発し出す頃、上郷SAに到着です。時刻表では12時18分着なので少し早いようです。ともかく、やっとタバコが吸えます〜。

 ここでは昼食のため40分休憩しますが、メニューの前で運転士さんと一緒に「何食べましょうか」「定食はどれかね」なんて会話が出来るバスは、そうそう無いでしょうね。

 
 上郷SAにて。
 現行セレガのクドイ顔つきより、この旧型の方が好きですね。

 上の写真、特大画像はこちらからどうぞ。2048x1536サイズで1.6MBあります。

 12時40分、上郷SAを出発です。走り出してすぐ、この先、名神一宮付近で渋滞発生の電光掲示が出ていましたが、現地に近づくとあら不思議、渋滞は跡形もなく消え去っていました。

 14時過ぎ、名神の草津PAで乗務員交替です。今度は降りられないのかなと思っていたら「時間が早いし、降りていいですよ。10分休憩します」のお言葉に甘え、トイレとタバコ、体を伸ばすことにしましょう。

 
 草津PAにて。日野セレガのリヤビュー。

 
 サイドの『CHUGOKU BUS』のロゴ。
 新しいバスだと『Chu Bus』と筆記体で書かれています。

 ここで少し運転士さん達とバスのお話。今日のこの車両はどうやらイレギュラー運用らしく、普段はもっと新しい車が使われるようです。もっとも新しいといっても、普通のハイデッカーになってしまい、同じ3列独立シートでも座席間隔が狭いそうです。古いこの車の方が乗り心地が良く、座席間隔も広く、車内設備も優れているとのこと。たまたま隣に同じセレガのハイデッカータイプが停まってましたが、「あの車より、ずっとこっちのがいいですよ」、「お客さんも、中二階のバスが来ると喜びますしね」って、そりゃそうですよ。(笑

 10分ほど休憩して出発、何やら棚をガサガサしていた運転士さんが「ビデオありましたので、これからかけます。『釣り○○日誌』w」。ああ、昔、長距離昼便では当たり前にあったビデオ放映、マルチステレオ、ドリンクサービスにおしぼりといったサービス類、今ではコスト削減のため、本当に珍しくなってしまいました。JR系の昼特急では全くないですし。

 ビデオを見ながら、15時過ぎに大阪市内を通過。東京〜大阪の東海道昼特急より大分早い印象です。やっぱり途中停留所に止まらないのが大きいのでしょう。特に御殿場や静岡は料金所横の停留所に行くため、かなりロスタイムしますし、出口渋滞があるとホント、悲惨なことになりますから。

 
 名神を抜け、夕暮れ迫る山陽道をひたすら西進。

 16時過ぎ、山陽道の瀧野西SAで休憩、今度も10分停まります。休憩中に中国JRバスの大阪〜岡山便も休憩に入ってきましたが、あちらはそこそこお客が乗っているようです。同じ中国バスでも福山〜大阪線は結構乗るようなので、やっぱり一番の問題は知名度でしょう。特に横浜側で知ってる人は殆どいない状態ですし。

 17時20分過ぎ、ついに広島県に突入しました。広島県に入ってすぐ、福山東ICで山陽道をいったん脱出、福山駅に向かいます。渋滞等でグダグダに混むようだったら福山駅で降りるつもりでしたが、どうやら最後の広島まで付き合うことが出来そうです。

 福山駅には17時45分着。このバスは福山のバスのため、ここで運転士さんの一人が降り、ここから広島までは一人乗務になります。ところが、ここから広島までが結構長く、約2時間かかります。つまり、今運転している運転士さんは広島に行った後、また福山まで戻ってこなければならないわけで、戻ってこれるのは約4時間後…………お疲れさまです。

 福山西ICから再び山陽道に乗ります。

 
 19時20分過ぎ、広島市内に入ってきました。
 紙屋町の広島BCまであと少しです。

 
 うあ、また手ブレた。(滅

 時刻表より45分ほど早く、広島バスセンターに19時30分到着です。ぴったり、12時間のバス旅でした。




 貴重な昼間の時間帯を約12時間以上かけて横浜〜広島を移動する、普通の人から見れば「何馬鹿なことを」と思うでしょう。飛行機で1時間で行く広島も、バスで12時間かけていく広島も、同じ広島には違いありません。でも、旅とは現地で遊んだり、美味しいものを食べたりすることだけじゃない、移動そのものにも旅の価値を見出せる人なら決して悪くない選択肢です。旅という非日常の場で、移動にも非日常のものを求める、そんな面白味がこのバスにはあると思います。

 知名度の問題で今はお客も少ないですが、この路線に限らず、非日常が味わえる超長距離昼行便のバスが、もっと育ってくれることを願わずにはいられません。


 06/05/28追記

 何とか育って欲しいと願っていた「弥次喜多ライナー」ですが、平成18年5月20日の運行を以て廃止となってしまいました。僅か7ヶ月の運行でしたが、休日でさえ乗客は数名、平日ともなれば乗客ゼロの日も多くあったようで、さすがにこれでは、大型バス1台に乗務員2名での運行を続けていくのは難しいでしょう。

 5月20日土曜日、最後の弥次喜多ライナー運行日、乗りバススレには、上下便それぞれ乗られた方達により、リアルタイムでレポされていましたが、最終日でも下り6名、上り12名という乗客数だったようです。

 私も出来れば、もう一度乗りたかったと思うです。乗る前に頭で考えていた「13時間」と実際に乗って経験した「13時間」(私の時は12時間でした)とが、あれほど違う経験なんて初めてでしたし。また、運転士さんたちも気さくな人達で、PAで休憩のたびにバスの話とか他の路線の話とか、いろいろしたのも思い出ですね。

 そうそう、上のレポには書き忘れましたけど私が乗った時、運転士さんたちとの話の中で「横浜の出発時刻どう? 早すぎない?」と聞かれ、この路線を育てていきたいという気持ちが感じられました。私も休憩時に「やっぱり昼間の方が楽だし、ずっといいですよ」と気に入ったことを言ってたんですけどね。

 高速道路を爆走(珍走?w)することで有名になってしまった中国バスですが、決して乗客を怖がらせるモノじゃなかったと声を大にして言いたいです。

 などと書いているうち、ふと思ったことを少し。あくまでも一横浜市民の個人的見解として適当に流して下さい。

 基本的に横浜って「高速バス不毛地域」なんですよ。市民にバスのイメージを聞けばおそらく殆どが一般の路線バス、せいぜい羽田に向かうリムジンバスぐらいしか思い浮かばないんじゃないでしょうか。電車で20〜30分圏内に羽田空港、東京駅、新宿駅に新横浜駅がありますし、中長距離の移動に「バス」という選択肢を全く持っていないのが横浜市民の特徴だと思います。ここら辺、普段から当たり前に「バスでの移動」を選択肢のひとつとして考えている広島や福岡の人とは決定的に違うと言えるでしょう。

 人の多さを考えると、地方のバス会社にとって「横浜行き」というのは魅力的に見えるかもしれませんが、実際、過去にも夜行昼行問わず、多くの横浜発着便 (横浜〜神戸、横浜〜新潟など)が撤退してしまいましたし、バス会社にとって「横浜」という土地は鬼門なのかもしれません。今回の弥次喜多ライナーも横浜〜広島ではなく東京〜広島だったら、もう少し別な結果が出たんじゃないかなとも思います。

 あと、これも私の勝手な推測ですが、思うに長距離昼行便が成り立つのは、夜行便で常時複数台出る路線に限られるのかもしれません。例えば品川〜弘前にも「スカイターン」という昼行便がありますが、この区間の夜行便「ノクターン」は少なくても4台、GWや盆暮れのピーク時には50台近く出たという話ですので、昼行をやって行くには、これぐらいニーズが必要なんでしょうね。




 おまけ。

 宿の関係で広島到着後、新幹線で福山に戻ります。

 

 …………
 ……………………

 うはっ、0系。(笑

 まだ走ってたんかい。



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